~ 今日の一言 ~ 若手の実力

~今日の一言(NO.67)~

・「風姿花伝」現代語訳の抜粋

  風姿花伝は、世阿弥が記した「能」の理論書。

  世阿弥が会得した芸道の視点から15世紀の初めごろに

  書かれたものです。

 

 二十四五の頃は、

 一生の芸の確定する最初である。

 名声のあった役者などを相手に、若い役者が一度でも勝ってしまうと、

 周囲も過大評価し、本人も上手だと思い込んでしまう。

 本人のためには、「害悪」である。

 

 これは、観客が一時的に感じた新鮮さのもたらす魅力であり、

 本当の魅力ではない。

 

 名声のあった役者に勝ったとしても、

 これは「一時的な」珍しさの生んだ魅力だと自覚し、

 ますます「能」を正しく、しっかりとやり、

 名声を獲得している役者に具体的に質問するなどして、

 稽古を一層進めなければならない。

 

 人はみなこの一時的な名声に自分を見失って、

 すぐに魅力が失せてしまっているのもわからない。

 

 しかし、自分の芸の程度をきちんと認識していれば、

 その芸相当の力は、一生失せることはない。

 

 自分の実力以上の上手だと思い込むと

 もともとあった芸相当の魅力もなくなってしまうのだ。

 よくよく理解せよ。

 

 ⇒ 500年以上前に書かれたものであっても色あせることなく、

   現代にも通じる書物になっていて驚きました。

 

   私も初任部署と次の部署では、

   スムーズに「成績」を上げることができ

   当時は、自分は「仕事ができる」と思いこんでいました。

   しかし、三つ目の部署に赴任したところ、

   周りの人のレベルの高さに歯が立たず、

   全然通用しなかったことを覚えています。

 

   「自分の力のなさを思い知らされ、

   自分はなんて傲慢で、井の中の蛙だったんだ、

   周りのサポートがあってできてきた成績だったにもかかわらず

   全て自分でやったと思い込んでいた」と反省したことを

   思い出しました。

 ~

   実力が付くのには、時間がかかる

 ~